こんにちは。地海空の iwasaki です。

いつも気にかけてくださり、誠にありがとうございます。

 

今回は縫製時の「綿糸(めんし)」について語ろうと思います。

 

まず、私が以前から気になっていたことから始めます。

ヴィンテージ(1940~60年前半頃)のスウェットやTシャツなどの服の雰囲気

現在「復刻(レプリカ)」として販売されている服の雰囲気

 

復刻(レプリカ)は着込んでみても、なんだかヴィンテージのような雰囲気に似ても似つかない。

購入時は「ヴィンテージを復刻」と評されていましたが、着込んでもヴィンテージのように雰囲気良くならない服もありました。

 

デニムの場合、たくさんのブランドさんのヴィンテージ再現度が高く、格好いい、雰囲気ある表情を見せていると感じています。

しかし、スウェットやTシャツの格好いい、雰囲気ある表情を見せてくれる服に出会うことは、なかなか難しいように思っていました。

 

そこで、私が地海空を立ち上げていく過程で、職人さんから様々なことを教わりながら、ハッキリと分かったことが「素材」の違いです。

 

そう、今回のテーマ「綿糸(めんし)」です。

きっと、地海空のホームページやInstagramをチェックしていただけている方々は「デニム好き」が多いのではないでしょうか?

デニムで表現すると「パッカリング」です。

ショップでリジットデニム(未洗い)を購入し、洗濯&乾燥すると、デニムが「ギュッ」と詰まりますよね。

そして、ステッチも「ギュッ」としまり、裾やポケットなどの縫製している糸も詰まり、「パッカリング」の表情が出てきますよね。

これは綿生地、そして「綿糸」だからですよね。

デニム好きの方は、このワンウォッシュした時の「パッカリング」が興奮ポイントだと感じています。

 

話を戻します。

職人さんと話をしていくと、この「綿糸」を使用して縫製されたスウェットやTシャツが数少なくなっていることを知りました。

この数が少なくなっているというのも、30年くらい前(1990年代後半)の古着ヴィンテージブームには綿糸ではなく化繊糸を使われている事が一般的の様子で、当時から現在まで「復刻(レプリカ)」と評されている服のほとんどがポリエステルなどの化繊糸という事だと分かりました。

そして、ヴィンテージのような雰囲気が出てこない理由が分かり、私は腑に落ちました。

化学繊維を素材として使用していたとしても、1%以下であれば綿100%と表示しても良いことになっています。

 

つまり、縫製に使用する糸は全体の1%以下という事です。

ヴィンテージの雰囲気を出せる理由のひとつに素材「糸」が関係していました。

そう、この1%以下の素材「綿糸」が大きなポイントだったのです。

 

具体的にどのような違いがあるのかを画像説明してみます。

 

①Tシャツの首まわり

■綿糸で縫製(50年代ヴィンテージ)

糸が「ギュッ」と詰まっています。

●化繊糸(10年ほど前に購入の復刻)

綿生地の経年変化に対して、糸の経年が少なく詰まりがないことが分かります。

 

②Tシャツの裾(1950年代ヴィンテージ)

■綿糸で縫製

●化繊糸(10年程前に購入の復刻)

 

異なるブランドの服ではありますが、綿糸か化繊糸の違いがよく分かります。

 

③そして、最も糸によって雰囲気が異なるスウェット

■上:40s

■中:50s

■下:地海空の育てるスウェット未洗い

首まわり、裾、肩まわり、、、

地海空のスウェットはヴィンテージと同様に生地と綿糸が「ギュッ」と詰まっていきます。

 

私はヴィンテージの雰囲気に惹かれた理由として、デザインはもちろんですが、それ以前に細部の雰囲気、「やれ感」に魅力を感じています。

 

そんな私が綿を思う存分「愉しむ」。

 

愉しむ為には「好きなデザイン」であること。

そして、

気づいたら「こればかり着ちゃってる」

そんな「優しい」着心地と肌触り。

それが「育てる」ということ。

いや「育ってる」ということ。

 

地海空のアイテムは、そんな服を創り込んでいます。

皆さんの手に取っていただき、体感して、愉しんでいただけると幸いです。

「あなたの手で育てていくモノ」

 

ちなみに、

地海空のタグ(2nd)からベース生地に綿を使用しています。

その為、化学繊維では表現されない服の染色と一緒に染まっています。

1stタグは、着用前に取り外してもらえるよう仮縫いで仕上げています。