こんにちは。地海空のiwasakiです。
今回「育てるinner:Tee」について語ります。
まず、皆さんにご説明したいのが、育てるアイテムが「出来上がるまで」についてです。
Instagramやホームページでご紹介していく前に、私は職人さんが作り込んでいただいた服のサンプルを「着用」します。
ここで言う「着用」とは、袖を通すだけの「試着」ではありません。
着倒すレベルの着用です。
Instagramのバックヤードでご紹介している通り、私の日常の仕事は清掃業です。
お洒落着のような仕事着のデスクワークというレベルではなく、完全に体力勝負のガチンコ現場です。
そんな私は、職人さんから受けとったサンプルの2~3枚を毎日着ては洗濯、着ては洗濯をひたすら繰り返します。
ガチンコ現場なので、身体は稼働域いっぱいに使います。
そのリアルから感じた事を、職人さんと共有して調整していきます。
最終的に、皆さんへご紹介している段階で「魅力」を感じており、魅力という表現よりも「私の好きなモノ」として紹介しているのです。
今回はこの「好き」をご紹介していきます。
①「育てるTee」の吊り編み、丸胴生地
■吊り編み特有の空気を含んで編まれている為、表情が「ふわふわ」としています。
そして、ムラのある綿糸を使用している為、「ぽこぽこっ」とした表情です。
■脇に縫い目がない、筒状に編まれている丸胴生地です。
ここまでは以前にもご紹介しています。
それでは、私が実際に着倒す勢いで体感して「好き」になったところ。
★生地が身体に馴染みます。
革製品であれば「馴染む」という表現にピンッとくると思いますが、Tシャツが身体に馴染むとはどういうこと?
それはこういう事です。
(※ここからの説明は科学的な根拠などがある訳ではなく、実際の私が感じた事です)
今回の育てるTeeの生地は糸ムラがあり、糸と糸の間に余裕があります。
少し大げさに表現すると「網(メッシュ)」のような生地です。
つまり、洗濯して綿が「ギュッ」と詰まった状態から着用し、最初は身体に当たる部分に違和感を感じる事もありますが、1時間もすると「(少し大げさに)メッシュ」のような生地が身体のラインに沿って伸びていきます。
そして、また洗濯して綿がギュッとつまり、着用して伸びる。
そのサイクルを繰り返していくと、しばらくして身体に当たる部分が自分の身体に合わせて「やれて」きます。
この「やれて」は伸びてデロデロになるのではなく、ヴィンテージ特有の「雰囲気・味」となって表情に現れてきます。
この表情が現れてくることが「育つ」ことだと思います。
私のこの吊り編み丸胴生地の好きな所は「やれる様に育つところ」です。
ちなみに、吊り編み丸胴生地でもこのように育たないモノもあり、それぞれに個性があるので色々試してみると面白いです。
②共生地ボートネックと綿糸、そしてフラットシーマ縫製
まず、首回り、肩から脇にかけての画像を確認してください。
この画像からでは上手く伝えることが難しいのですが、「どこが?何が?」好きなのかを先にお伝えします。
綿生地に綿糸で縫製している為、着用と洗濯を繰り返していくにつれて、少しずつ、少しずつ、綿が「キュッ、キュッ」と縮んでいます。
そして、フラットシーマ縫製の為、綿糸が縮んでいくにつれて、ステッチが独特の表情で現れてきます。
生地と生地を縫い合わせる為の縫製されているのではなく、まるで縮んでいくにつれて表情を表す、「繊細で意図的なデザイン」が施されていたように感じます。
この「着込めば着込むほどに見えてくる表情、デザイン」が私の好きな所です。
もちろん、全て柔らかな綿で、身体への当たりが少ないフラットシーマ縫製の為、着心地の良さは間違いありません。
これらの①②の私の好きな所は、全て計算されて創り込まれていたというよりも、今から70~80年前の当時の方たちが「純粋の良いモノを創ろう」としていた一つ一つの創り込みから、「偶然生まれたモノ」だと感じています。
そう考えると、ヴィンテージの格好良さ、素敵さは意図的に創り込むものではなく、表現されるものではなく、人それぞれの生き様が結果「格好いい」とか「素敵」という唯一無二の存在になっていくのだと思っています。
地海空のアイテムは、「格好いい」「素敵」に育ってくれるよう、職人さんが「古き良き時代」を意識して作り込んでくれたモノです。
皆さんが今、手に取った一枚の服をそれぞれのライフスタイルで愉しんでいき、その一枚があなただけのヴィンテージとして愛着を感じる存在になったら最高だと思います。
その一枚が地海空のアイテムであれば、私は幸せです。
ここまで記したことは、私の感じた「好き」な所です。
きっと、同じ服でも「好き」を感じるポイントは違うはずです。
是非、愉しんで育てていただけることを願っています。
「あなたの手で育てていくモノ」
さぁ、愉しんで♪