こんにちは。地海空~chi-ca-cu~の店長iwasakiです。

前回、50’s~60’sのヴィンテージスウェットの生地について記しました。

今回は縫製について、職人さんから教わったことを記していきます。

さっそく行きましょう!

 

 

①リブは小丸編みです。

小丸編みって聞きなれない言葉ですよね。

私は初めて知りました。

下画像のようにリブに縫い目がなく、筒状になっているのです。

縫い目が途中で止められています。

こうすることによって、手首回りや腰回りのリブに「ゴリゴリ」っとした縫い目の重なりがないんです。

なるほど!!確かに、縫い目があるとテーブルや椅子に当たって、手首に違和感があったり、その部分だけ痛んできますよね。

筒状のリブによって、ストレスがなくなるんですね。

 

 

②縫い目に注文です。

※分かりやすいようにゴールドのステッチが入ったモノを載せました。

肌に当たる面を最小限にするために、縫い目を平らにしてあるんです。

40’sまでは縫い目が重なる所が盛り上がってしまい、肌にゴリゴリ当たってしまう縫製方法しかなかったそうです。

そこで、このストレスを軽減させようと開発されたのが、この平らに縫う製法。

主に肌着に使われていたそうです。

平らな(フラット)、縫い目(シーム)でフラットシーマと言えばヴィンテージスウェットのポイントですが、こうした理由があったとは知りませんでした。

尚、50’sはチェーンステッチ仕様のフラットロックという縫製だそうです。

このフラットロックはチェーンステッチ縫製で、チェーンだけに失敗すると解くことが出来ないそうです。

まさに真剣勝負です。

本当にすごいです。そして、なるほど!!です。

ちんみに、この縫製の糸もリブも綿100%なんです。

糸やリブも同じ綿だと、同じように伸縮があり、違和感なく経年変化していくので、育てていく楽しみがありますよね。

それにしても、このリブの伸縮性すごくないですか!?

今から60年以上前のモノなのに伸縮性が健在です!

 

 

③ヴィンテージと言えば「Vガゼット」です。

「Vガゼット」には2つの目的があったことは有名だと思います。

一つは、首元の伸び防止。

もう一つは、汗止め。

この「Vガゼット」についても、「これぞヴィンテージ!」と優越感に浸っていた自分がいましたが、職人さんから話を聞くと当時の方にリスペクトしかありません。

この「ガゼット」とは袋などの仕様となる「マチ」のことで、首周りの伸縮性を考え、脱着のしやすさを考えられた仕様のようです。

そして、ガゼットがあることによって、首元が伸びてだらしなくのを防ぐ効果もあったそうです。

この「Vガゼット」の有無と簡単にいうけれど、ガゼット有無がどれだけ価値のあるものなのか。。。

それは、職人さんから話を聞いて震えました。

まず、首回りの素材は同じ綿ですが、生地自体が異なるため、もちろん伸縮性も異なります。

この異なるものをバランスよく、波打たないように縫っていく事がどれだけ大変なにか。

話を聞くだけ難易度の高い技術だと感じました。

さらに、「Vガゼット」仕様になると、丸胴生地の首元を三角にカットして、そこに三角にカットしたリブをはめ込みます。

そして、そこに首周りを縫っていく。

言葉で説明を受けただけですが、この工程を何千枚と創り込んでいくことを想像すると、相当手が込んでいます。

これらは「どうしたら良くなるか?」と考え抜き

そこに手間を惜しまずに挑戦してくれた人々がいたことの事実。

そう考えると、「このVガゼットかっこいいよね!」のひと言で終わらせることはできないです。

このことを教わってから、「Vガゼット」をみると、当時の職人さんにリスペクト、そして感謝の思いを持ってしまいます。

 

 

2つの記事にわたって記してきましたが、これらはごく一部の魅力だと思っています。

ごく一部でも、「なるほど!!」を通り越して、「言葉にならない」になっている自分がいました。

私は、職人さんの力を借りて、この古き良き時代のスウェットの創り込みに挑戦していきます。

「優しい着心地。優しい肌触り。」

そして、「あなたの手で育てていくモノ」を。